オーダーメイド型実験装置の開発

 ここでは,もはやライフワークと化した,高田技術専門職員がこれまで設計・製作した実験装置を紹介します.紹介する実験装置は,どれも,本研究室を含む各研究室からの依頼で作製した一点物になります.これまで作製した装置を,①まるまる一式企画から組立まで行ったもの,②既存の装置の拡張部品を製作したもの,③既存の装置をリバースエンジニアリングを駆使して複製したもの,④陳腐化した試験装置をレストアにより再生したもの,に分類してまとめてあります.全て,3次元CADのSolidworks(機械系提供)をベースに,設計,一部構造計算を行い,加工委託もしくは材料のみを購入して自ら機械加工した部品を組み立てて,依頼者の元に届けてます.納品後は,実験方法の検討やその後の保守・メンテナンス作業も行ってます.

実験装置一式開発

  • 1. 現場ORP測定容器(設計/加工/組立:高田)
    • 概要:消雪パイプから汲み上げた地下水の水質を測るための装置.これを用いることにより,大気に触れない状態で,地下水を連続的にセンサーに流して,酸化還元電位ORPを安定して測定できるようになる.
    • 製作:アクリルフランジ,アクリル底版はCNCフライスで加工.フランジ部にSUSインサート設置.蓋は3Dプリンターで作製.フランジ,円筒はシリコーンコーキングで接着.ゴムパッキンは自作.
    • 工夫:①測定器を外部から差し込むだけで設置できるようにした.②容器内に空気が残らないような円錐状の蓋裏形状とした.③水質測定に影響を与えないようにするため,容器外に接着面を配置した.④測定時の地下水の流れを目視するため,透明な容器とした.


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      完成品の様子ORP測定の様子3Dモデル(クリック:L回転,R移動,ホイール:拡大)


  • 2.据置型静的コーン貫入試験装置(設計/加工/組立:高田)
    • 概要:年代効果による砂の強度変化を調べるための装置.これを用いることにより,室内に置いて長期に渡る圧密状態の砂供試体のコーン貫入抵抗力を測定できるようになる.
    • 製作:フレーム材や各部品の大半は通販サイトを利用して調達.載荷装置ベース部分は自家溶接した.
    • 工夫:①操作を容易にするために,ドライバー・コントローラ一体型のサーボモータを採用,②載荷フレームを手で持って移動できる重量とした,③複数の供試体を長期圧密するために載荷装置ベースも複数作製した.


  • 3.移動型静的コーン貫入試験装置(設計/加工/組立:高田)
  • 4.自動制御型支持力試験装置(設計/加工/組立:高田)
  • 5.液状化試験用振動台土槽(設計/加工/組立:高田)
  • 6.土壌水分計温度依存確認装置(加工:工作センター,設計/組立:高田)
    • 概要:土壌水分計の測定精度に与える温度分布の影響を調べる装置.これを用いることにより,均質な模型地盤中の水分量を正確に測定することができる.装置は鉛直・水平に置くことができるため,重力による水分の大小の影響の有無を考慮することができるようになる.
    • 製作:アクリル製の中蓋,外蓋は旋盤で予め作製した専用の治具を用いて加工した.センサーの測定範囲を考慮した内径,高さとした.
    • 工夫:①アクリル円筒個々の内径に合わせて蓋や中蓋を製作,②通水飽和ができるように装置下端に排水バルブを設置


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      完成品の様子排水バルブの様子3Dモデル(クリック:L回転,R移動,ホイール:拡大)


装置拡張用治具

  • 1.空圧供給用制御盤(アクリルトラップ部のみ:㈱誠研舎,設計/加工/組立:高田)
    • 概要:166実験準備室の一次元圧密用ベロフラムシリンダーおよびエアガンの空圧を調整するための装置.これまで,大きな木製の装置を用いてきたが,陳腐化したことと,場所を多く専有することから,新たに作製し直した.これを室内の縦排水管に括りつけることにより,壁面に制御盤を設置できるようになるため,省スペース化を図ることが可能となった.
    • 製作:骨組みはアルファ―フレームを採用,レギュレータ,バルブ固定用パネルは自家アルマイト加工
    • 工夫:木製制御盤のレイアウトを踏襲する形でレギュレータ,バルブ類を配置することで,使用する際の混乱を避けた.


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      完成品の様子設置状況3Dモデル(クリック:L回転,R移動,ホイール:拡大)


  • 2.UAV用LiDar設置治具(設計/加工/組立:高田)
  • 3.車載用LiDar可搬式設置治具(設計/加工/組立:高田)
    • 概要:道路や構造物の点群データをLiDarで連続的に測定するための装置.車体の任意の位置に簡単に設置できるように装置全体を強力な吸盤で設置できるような仕様となっている.
    • 製作:全て材料から切り出したものをCNCフライス盤で加工
    • 工夫:①LiDarのレーザー照射角度を変更できるようにした.②IMUは電波干渉を防ぐためにシールドボックス内に設置した.③本体全体の重心を考慮してGNSSアンテナ・モジュールをバランス良く配置した.


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      完成品の様子完成品の様子3Dモデル(クリック:L回転,R移動,ホイール:拡大)


  • 4.車載用LiDar固定式設置治具(設計/加工/組立:高田)
  • 5.レール走行用LiDar設置治具(設計/加工:工作センター,組立:高田)
  • 6.三軸試験装置用局所変位計設置治具(設計/加工/組立:高田)
    • 概要:土のせん断剛性を求めるために設置する局所変位計を,正しい位置に貼り付けるための治具.これを用いることにより,鉛直方向2か所,半径方向1か所の変位計,ターゲット,センサー・ターゲット間距離調整シャフトを一気に設置することが可能となる.また,設置の際は,ひずみ測定区間を所定の距離維持しながら,かつゴムスリーブに瞬間接着剤を用いて直接貼付けしなければならないため,失敗が多かったが,これにより確実にできるようになる.
    • 製作:シャフト,ベアリング,カラー等はミスミで調達,それ以外はCNCフライスで加工
    • 工夫:①治具の安定性を増すために土台は比重が大きい真鍮で製作した.②土台,シャフト等は接着剤が硬化した後に細かく分解して取り出せる仕様とした.③②を考慮してメスネジ部はインサートを設置した.


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      治具設置状況局所変位計設置状況3Dモデル(クリック:L回転,R移動,ホイール:拡大)


  • 7.三軸試験装置用三点曲げ試験治具(設計/加工/組立:高田)
  • 8.三軸試験装置用三点曲げ試験供試体作製モールド(設計/組立:高田)
    • 概要:角型粘土供試体を作製するための型枠.三軸試験機の圧縮機構を利用して行う三点曲げ試験で使用する.
    • 製作:全ての部品はミスミMeviyで用意.
    • 工夫:①供試体突き固め後に型枠を簡単に分解できるようにした.②供試体が当たる面は錆防止の意味でSUSを使用した.③突き固め棒は,汎用性を増すために,すでに保有しているものと同様の寸法とした.


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      完成品の様子組立後の様子3Dモデル(クリック:L回転,R移動,ホイール:拡大)


  • 9.三軸試験装置用ロードセル校正治具(設計/組立:高田)
    • 概要:三軸試験機用の圧縮・引張型水中ロードセルの校正を行うための装置.これまで圧縮のみの検定しかできなかったが,これを用いることにより引張側も検定できるようになった.
    • 製作:全ての部品はミスミMeviyで用意.
    • 工夫:①三軸伸長試験を行う際に,引張側も検定する必要が生じた.時間が無い中の対応であったため,設計後,見積り納品がスピーディーにできるMeviyを利用して短時間で用意した.②ペデスタルの雄ねじ,主軸接合部分まで含んだ一体形状にすることにより,設置が非常に簡単にできる,③一部部品を取り換えるだけで,研究室で所有する全ての三軸試験機で検定できるようにした.


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      完成品の様子校正の様子3Dモデル(クリック:L回転,R移動,ホイール:拡大)

試験装置複製

  • 1.他項目センサー校正装置(元設計:㈱誠研舎,加工:工作センター,リバースエンジニアリング/組立:高田)
    • 概要:すでに保有するセンサー(変位計,回転角計,渦電流式変位計)校正装置をリバースエンジニアリングを駆使して複製した.
    • 製作:フレーム材や各部品の大半は通販サイトを利用して調達.SUS製細目メインシャフト,SUS製センサーターゲットは旋盤で加工.
    • 工夫:完全コピーを目指し,寸法公差1/100mmで設計した.


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      完成品の様子(手前,奥が複製元)変位計校正の様子3Dモデル(クリック:L回転,R移動,ホイール:拡大)

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