2008/6/22 の調査 (22nd June, 2008 Investigation)
はじめに
岩手・宮城内陸地震が発生して1週間後に,被害調査の機会を得ました.調査団メンバーは,酒井氏,植竹氏(以上,防災科研),原氏(和歌山高専),ハザリカ氏(秋田県立大),細野氏(豊橋技科大),武田氏(基礎地盤コンサルタンツ)です.この日は朝に,一ノ関駅に集合し,レンタカーで移動しました.まず,荒砥沢ダム上流の巨大地すべり現場に,下流側よりアプローチしました.中越地震の旧山古志村での被害を経験しているので,全般的にはそれほどの被害は感じませんでしたが,この巨大地すべりに関してはスケールの大きさに驚かされました.
荒砥沢ダム地すべり近傍
- 荒砥沢ダム巨大地すべりを下流から見ています.巨大な崩壊であることが理解できます.
- 縁石が転倒していますが,ロックフィルダム自体には,それほど大きな損傷は見られません.
- 道路には,断層を思わせる亀裂損傷がある場所が何ヶ所かありますが,壁面等にはほとんど損傷が見られず,地盤が大きく動いたわけではなさそうです.
- 巨大地すべりに近づいてきました.ここからは歩きです.
- 道路が完全に割れており,割れ目からは新鮮な岩盤が現れています.ここを越えると,巨大地すべりです.
荒砥沢ダム地すべり内
- 巨大地すべりが見えてきました.向こうに見えるのは滑落崖のように見えますが,なんと崩壊の先端部分が崩落したあとです.
- 崩落の先端部分です.
- ダム湖に土砂が流れ込んでいるのがわかります.
- 非常に脆い,砂層をかんでいるのがわかります.
- 薄層状の泥岩質の破砕塊も多く見られます.
- 非常に脆い凝灰岩で,今にも崩れてきそうです.
- 崩壊により,泥水が巻き上がったことがわかります.かなり水を含んでいたようです.
- 崩壊した地層には,灰色,白,茶色と様々な色の層が複雑に含まれているのがわかります.
- 崩壊地を上っていきます.
- 色々なところで崩壊を繰り返したようで,このような絶壁や滑落あとが多く見られます.
- 道路の擁壁や埋設管と思われるような構造物の残骸も見られます.
- 道路が原形をとどめず引き裂かれています.
- 崩壊跡ですが,ここで何が起こったのかと疑問に思わせるように土がむき出しになっています.
- 泥岩に砂岩が貼り付いています.この砂岩は,ほとんど固結はなく,手で触ると崩れてしまいます.泥岩は砂岩よりは固結力はありますが,手でもつぶすことは可能です.この砂岩と泥岩の試料採取を行いました.
- 凝灰岩ですが,空隙が多く含まれていると思われ,軽石のように軽いです.固結もそれほど強くありません.試料採取を行いました.
- 黒い土ですが,腐植土のようです.
- 堆積構造がよくわかり,薄片で剥離しやすい泥岩質と固結度の低い砂岩が層になっています.
- 崩壊地の末端部の上からの眺めです.
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