液状化被害写真


1. 兵庫県南部地震 (Hyogoken-Nambu Earthquake)(1995)

兵庫県南部地震,一般呼称として阪神・淡路大震災の地震概要は以下のとおりである.

発生年月日:1995年1月17日,5時46分52秒
地震の規模:M=7.2
震源の位置:北緯34度36.4分,東経135度2.6分,深さ14.3km

この地震は,他の大地震と比較すると,そのエネルギー(マグニチュード)は小さいが,震源が浅く直下型の地震であったため,大きな被害をもたらした.当時私は学生であったが,運良く調査団といっしょに被害状況を見学する機会を得た.まだ交通が回復していなかったため,漁船で上陸し,自転車を使って移動した.その時に撮影した写真の一部を掲載する.住民の願いも深刻で,見学中幾度となく,いつ水道や電気が回復するか聞かれ,防災の重要さを痛感した.ここにはその一部を掲載しておく.興味のある学生は,部屋にきていただければ閲覧可能である.

(a) 沈下と噴砂 (Settlement and boiling)

液状化が起こると重い物は沈み,軽い物は浮き上がります.電柱は沈み,その周りに噴砂が観測できます.大量の土砂が噴出しているところもあります.砂というより泥に近いようなものもあります.これだけの量,どのくらいの時間かかって出てきたのでしょうか.

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(b) 側方流動 (Lateral spreading)

液状化が起こると少しの傾きでも流動していきます.護岸を押して,海にはり出していっている例です.最後の写真は,ものすごい沈下量です.この沈下量,土が消えたとしか考えられませんが,どこにいちゃったんでしょうね.

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(c) 基礎と沈下 (Foundations and settlement)

沈下がなみうっていますが,これは構造物の基礎の影響ですね.基礎をしっかりしておけば,構造物の被害は少なくなります.あとは土を盛り直して復旧.でも,ライフライン関係の被害は免れません.

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(d) 橋脚周辺の地盤 (Ground around bridge foundations)

神戸大橋や西宮大橋の基礎周辺地盤でも液状化が観測できました.神戸大橋の基礎も若干動いてしまったそうです.地震動による落橋ではなく,地盤流動により基礎が動いて落橋する例もよく報告されています.

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(e) 構造物(ビル) (Buildings)

三宮のビルです.見事にある階がつぶれています.ちょうどそこから上が,鉄筋量とかも減っているそうです.構造の基準はよくわかりませんが,不連続にいきなり変化させるというのも問題があるかもしれませんね.

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2. 新潟地震 (Niigata Earthquake)(1964)

1964年に発生した新潟地震により,液状化により構造物が甚大な被害を受けることが認識され,以後発生のメカニズムや予測に関する研究が数多く行われるようになった.(社)地盤工学会より"液状化災害発生直後の新潟市街地航空写真集"を出版するに当たり,新潟市在住の写真家,弓納持福夫氏より直接話を聞く機会を得た.話の概要は以下のとおりである.

この日,弓納持氏は新潟と佐渡島の間に就航している汽船の写真を軽飛行機から撮影するため,新潟空港に待機していた.カメラの最終点検をしていたときに,強震が襲った.揺れがおさまり呆然としていたときに,空港のビルがゆっくり沈み始め,空港も水浸しになってきた.噴砂現象も多く観測できたという.パイロットから"こんなところにいたら死ぬぞ"と促され,軽飛行機で新潟空港を飛び立った.目を疑うような光景に,なにが起こっているのか,自分だけ助かって良いのか,と自問しつつ,涙を流しながら写真撮影を行ったそうである.

私の撮影した写真でないので,ホームページには掲載しないが,興味のある学生は,部屋にきていただければ閲覧可能である.


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